負けなかった事は評価したい《vsヨルダン》
アジアカップが始まりました。
ザッケローニ監督としては初の公式戦であり、
次のW杯に向けての第一歩となる大会です。
試合結果は皆様ご存知のように1-1の引分けだったんですが、
その内容を振り返る前に
個人的にこのアジアカップで見てみたい点を挙げておきます。
(ヨルダン戦だけじゃなく、大会を通じて)
中澤・闘莉王不在で守備陣をどう組織していくか
引いた相手に対する攻撃の方法
可能ならば、内田・長友以外のSBの発掘と遠藤・長谷部に代わるDH(CH?)の発掘
3番は「真剣勝負」の場でテストのような事は簡単に出来ないでしょうから、
多くは期待してませんが。
では、ヨルダン戦の振り返りを。
■守備面:吉田が目立つ
代表2戦目、実質代表デビュー戦となった吉田。
個人的には非常に注目しておりました。
中澤や闘莉王、栗原がおらず岩政もやや怪我気味という中で、
果たしてどれくらい出来るのだろうかと。
結果から言うと、期待以上にやってくれたな、という感じです。
高さは申し分ないし、特別スピードでやられる訳でもない。
マッチアップで軽さも見られなかったし、最終的には起死回生の同点弾を叩き込みました。
失点シーンで足に当たってしまいましたが、あれはディフェンスとして当然の「足出し」であるし、
責める対象にはなりません。(本人は悔しいでしょうけど)
あと、吉田って結構足元上手いんですね。
ロングフィードも結構正確だし、オフサイドになったボレーもフカさずに叩いてたし。
若干のパスミスは見られたものの、縦への楔もきちんと入れてました。
という事で、この試合に関しては満点の出来だったかと。
今野も良くカバーしていましたし、今のメンバーにおいてこのCBのコンビならば
一定水準の安心をもたらしてくれそうです。
SBの2人についてですが、
長友は攻撃面でも守備面でもやや精彩を欠いたかな?という印象。
内田は良かったと思います。
あれだけSBが上がってくれれば中にいる味方もやり易いでしょう。
クロスも以前と比べると、低くて速いグラウンダーのボールを出してみたり、
タイミング的に早めに出してみたりと、
バリエーションが増えたように思えました。守備もきっちりこなしてたし。
組織としての守備はまずまず、でしょうか。
ヨルダンの技術の低さに助けられたシーンも多かったですが、
カウンターにもきちんと対処していたかと。
ただ、当然ですが失点シーンは要修正ですけどね。
ちょっと軽過ぎでした。囲んだ2人が簡単に交わされたのも遠藤のタックルも。
■攻撃面:やっぱり崩せない
0-0のうちはヨルダンもそれ程引いた守備を見せなかった為
そこそこチャンスはあったと思います。
香川の1vs1とか。
でも、ヨルダンが先制して当然のように引き気味になると
やっぱりなかなか崩せない日本攻撃陣。
ただ、これはもう永遠のテーマなのかな、とも。
世界を見渡してみても、ガッチリ守備を固めた相手を華麗に崩すチームなんてそうそうありませんからね。
気になったのはその攻撃方法。
「中に固まり過ぎ。もっとサイドに起点を作らないと」
と、解説の松木さんに珍しく同意してしまいましたよ。
ちょっと中央に固執し過ぎたように思えました。
あとは3人目の動きが無かったですかね。
まだまだ「全体での攻撃」という意識が薄いのか、
1人で突破、または2人でのパス交換、という攻めが多く見られました。
この部分については、今大会中に熟成していくんじゃないかとも思いますが。
それとスピードですか。ザックさんが言ってたようですが。
攻撃時のスピード感が不足してる為、相手に対処され易くなってる、と。
という事で、攻撃に関しては色々と課題が出た試合だったと思います。
■全体的に、と選手個々について
タイトルにもありますが、負け試合を何とかしてドローに持ち込んだ底力は評価。
試合展開が「the・中東との試合」みたいになってて
空気的には完全に負け試合だったんで、吉田に救われたかな。
その後ヨルダンが浮足立って、更に逆転出来そうになってたんで
アレで逆転勝利してたらより良かったですけど。
まあそんな簡単に事は運びませんな。
これでザッケローニ監督もますます「アジアの不思議な難しさ」を感じたんじゃないでしょうか。
裏の対戦でこのグループ最大の難敵・サウジがシリアに敗れるという何だかラッキーな展開になってますし、
グループリーグは2位に入れば良い訳なので、この勝点1はとっても貴重です。
最後に、ちょっとだけ選手個々について。
李忠成は何にも出来ませんでしたね。。。
「前田がサイドに流れ過ぎているから、李を入れて中央に構えるようにしたんじゃないか」
と解説の方が仰ってましたが、
そもそも李って中央に構えるタイプじゃないような。
とにもかくにも、最後まで試合に馴染めなかった感じでした。
次、チャンスがあったら頑張ろう。
岡崎は足元がちょっと上手くなってたけど、オフサイド判定されたヘディングは枠に入れて欲しかったです。
得意なんだから。
長谷部は相変わらず良く動いてますね。
本田のセンタリングからのボレーが枠に行ってたら最高にカッコよかったんですが。
正直、次のシリア戦はヨルダンよりも楽な相手かと考えてましたが、
サウジに勝ったって事と日本がヨルダンとドローだったって事で
俄然、大事な試合になりました。
スタメンをいじってくるのかどうかわかりませんが、
次の試合のザッケローニ采配も、楽しみにしたいと思います。