おっさんサッカー独り言

サッカー日本代表とかジェフ千葉についてブツブツ書きます。

納得の敗戦《vsイングランド》

W杯前の親善試合3連戦の2戦目、イングランド戦。

結果は全ゴールを日本人が挙げて負けるという、前代未聞(?)の1-2負け。

色んな意味で闘莉王大活躍でしたね。

さてこの試合、概ね好意的な評価を得ているようです。

中には

「勝ち点を奪いに行って結局負けてどうするんだ」

「手抜きのイングランド相手に負けるのかよ」

と、手厳しいご意見も見られるようですが、

ほんの数日前に行われた韓国戦と比較したら数段良くなってませんか?

今の日本代表にこれ以上を求める方が厳しいような気もするんですが。

もちろんこの試合でも「出来た事」と「出来なかった事」があり、

修正すべき課題は色々あったかと思います。

が、

そもそもそれを見極めるのが親善試合であって、

背伸びしまくった結果を求めるのは若干筋違いじゃないかと思ってます。

(そりゃ、勝てりゃ良いですけど)

で、個人的にこの試合が良かった理由を考えてみました。

■アンカー阿部の効果

この試合、日本はフォーメーションを少し変えてきました。

いわゆる4-1-4-1(岡田監督は『4-1-2-3』のつもりらしい)。

アンカーに阿部が入り、

本田が右サイドに回ってセカンドトップ無しの構成です。

この「アンカー阿部」が、2つの良さを産み出しました。

遠藤と長谷部の守備負担軽減

バイタルエリアのカバー

まず1.ですが、

遠藤、長谷部は共に守備が本職ではありません。

ボランチでこの両者が組む時、

それぞれがそれぞれでキチンと守備をしようと試みているのですが、

やはり拙い。

ボランチの守備としては軽いと言わざるを得ません。

アジアの中堅国相手ならばそれでもDFと連動してボールを奪う事が出来ますが、

世界レベルでは厳しい状況でした。

が、阿部がアンカーに入る事でこの2人が守備に重きを置く事無く前に出れた。

前に出ても当然守備はします。ですが抜かれてしまった時の“緊急度”が違う訳です。

「阿部が後ろにいる安心感」が、遠藤と長谷部をより活かしていたと感じました。

もちろん、阿部自身の出来も良かったと思います。

それと2.のバイタルエリアについて。

1.とも密接な関係にあるのですが、これまで日本はバイタルエリアがポッカリと空いている事が非常に多く、

そこでフリーの相手選手に自由にやらせてしまっていました。

(もしくはCBの一人が釣り出されて後ろがスカスカ)

そこに阿部というアンカーが一人いる事で、

相手選手には何らかのプレッシャーがかかる訳です。

阿部も簡単に前を向かせません。

そうするとこの位置で一旦ディレイ出来るんですね。

SBの戻る時間も稼げる。

CBがマークする相手を確認する事も出来る。

この辺りが、守備の安定につながったのだと思います。

まあ、そもそもこの試合での日本は

チーム全体での守備意識がとても高かったように感じました。

以前からのやり方である

「数人で相手を囲んで奪う」

が実践できていました。

それと、

「所詮イングランドは手抜きじゃないか」

といういつもの意見も見られますけど、

相手がイングランドだろうがどこだろうが関係なく、

このシステムで守備をしっかり出来た事。

それが収穫ですよね。

■気持ちの問題

これは感覚的なものなのですが、

韓国戦よりも明らかに「W杯モード」になっている選手が増えてきてます。

大久保、長友、長谷部に加え、

川島、阿部、今野、闘莉王、本田、森本。

この辺りの選手は

「泥臭くても何でも、身体を張って1vs1で相手に負けないようにしよう」

という気迫が感じられたように思います。

もしかすると選手達だけによるミーティングが功を奏したのかもしれません。

大久保に関しては

「結局攻撃面で何にもしてねーだろ」

という見方もあると思いますが、

彼の闘争心とクイックネスは決して悪い物ではありません。

左SHとしての長友とのコンビは、このチームの武器になっています。

闘莉王に関しては、やはりこのチームに必要不可欠なんだと思いました。

それは得点したから云々でなく、ディフェンスラインからのロングフィードがあるから。

韓国戦で阿部がその役割を担ったのですが、CBに入った阿部は守備に手一杯になってしまって攻撃の起点にはなれませんでした。

それに対し、闘莉王は岡崎を裏に走らせるようなフィードをきっちり出してくれる。

それにより相手のディフェンスラインが裏を警戒し、

結果中盤へのプレッシャーが緩くなります。

これが無いと日本の中盤は厳しいプレッシャーに晒され続け、

「何も出来ません状態」に陥ってしまいますからね。

あと川島。

少なくとも、この試合の川島の気迫はとても心強かったです。

最後尾に怒鳴りつけてくるヤツがいるって事は、

ディフェンスラインに取っても心強い物なのですよ。

イングランドのコンディション

私は基本、

「相手がどうであろうと」

日本が何をやろうとして何が出来たか、出来なかったかを見ているつもりです。

が、この試合でそれなりに善戦した理由には、当然イングランドのコンディションの問題もあったと思います。

イングランドとしては

まだ23人が決定していない(当落線上の選手のモチベーションUP)

怪我したくない(激しさDOWN)

相手が弱小チーム(モチベーションDOWN)

W杯前の大事な親善試合(モチベーションUP)

テストモード(連携DOWN)

と、様々な要因が重なり合っていて

何ともフワフワした感じでした。

その結果が度重なるパスミスであったり、

ディフェンスの何でもないミス(岡崎がシュートふかしたやつ)だったり、

中盤でのプレッシャーの緩さに繋がっていたのでしょう。

でも、ルーニーは若干イラついてましたよね?

ちょっと嬉しかったです。

それと、イングランドというチーム自体が

非常にオーソドックスな攻撃をするチームである事が

日本にとってもやり易かった一因じゃないかと思っています。

例えばロングボールで裏を狙いまくってスピード勝負に出られたり、

中盤で激しくプレッシャーをかけてショートカウンターを仕掛けられたり…

そういったチームにはとても弱い日本ですが、

怪我をしたくないイングランドのメンバーがフィジカルコンタクトを避けて普通に攻撃してくるだけだったので

守備に集中していた日本は非常に受け易かったと思います。

■2つのオウンゴールと本田のハンド

課題です。

オウンゴールに関しては、それを犯してしまった2人に大きな責任はありません。

むしろ最後の最後まで足を、頭を出して防ごうとした気持ちの現れですので、

私としては評価したいです。

問題はサイドからの絶妙なクロスを上げられてしまった点。

どちらもフリーで上げられています。

この問題の元を辿ると、ディフェンスラインが下がり過ぎてしまっていた点に行き着くのではないかと。

体力が低下し、守りたい日本はどうしても引き気味になってしまいます。

そうすると相手のサイドにいる選手は簡単に前を向いてプレーできてしまうのです。

結果、相手にノープレッシャーでクロスを蹴られてしまう。

何とか勇気を持って中盤と最終ラインをコンパクトに保てれば良いのですが。

それをやろうとすると、今度はサイドの裏を狙われちゃうんですよね。

それを防ぐには中盤でパスの出し手に自由にさせないようにする必要が出てきて、

巡り巡って結局

「90分プレッシャーを掛け続ける体力が必要」

って結論に辿りついてしまいます。

とても厳しいのですが、弱者が強者に勝つには

やっぱり走り切る体力が必要になってきますよね。

あと本田のハンド。

あれは擁護不能です。手を挙げる前にジャンプしましょう。

ホント、レッドカードでもおかしくないよね。

一部でこの結果を受けて

「やっぱり俊輔は要らない子だったんだ!」

って喜んでいる人がいるようです。

正直くだらないなーと思いますが

この試合で中村俊輔が本田の代わりに右SHにいても

結果は殆ど変らなかったと思いますよ。

大事なのは次のコートジボワール戦で同じテンションを保つ事。

結果は2の次。

そして調子のピークをカメルーン戦に持っていく事。

W杯で3戦全敗の可能性はまだまだ高いと思います、

が、このイングランド戦で見せたような集中力を出せれば、

カメルーンに勝つ事は決して不可能じゃないです。

私としては、W杯に向けてちょっとワクワクしてきました。