スペインに穴は無いのか?
やや刺激的なタイトルを付けてしまいましたが、
そんなに凄い内容じゃないです。
ずいぶん前に行われた《フランスvsスペイン》の親善試合を観て、
そういえばこれについて何にも書いてないなー、と思い出しただけで。
ただ、
今になって書くのだから単にレビューして終わりじゃつまらないかな、と思い
ドイツW杯とEURO2008のスペイン代表を生で観た者(自慢ですw)として
南アフリカW杯におけるスペイン代表はどうなるかを考えながら書いてみます。
■その前に、フランスについて
スペイン代表を追っていた私にとって、フランスとは浅からぬ因縁(?)がありまして。
2006年ドイツW杯において予選を余裕の3連勝で勝ち抜いてきたスペインは
何とかかんとかグループリーグを2位通過してきたフランスと
決勝トーナメント1回戦で当たりました。
「こりゃ勝ったな」
的な雰囲気が蔓延していました。
しかし、目の前で繰り広げられたのは“ジダン引退前夜祭”の幕開け。
そのジダンの技術と、フィジカル面で圧倒するフランス代表の前に
スペインは脆くも破れ去ったのでした。。。
…というのは皆さんご存じの通り。
ただ、目の前で応援していたチームがあのように負けたのを観ると、
やっぱり特別な感情が湧く訳ですよ。
「打倒フランス!」
ってね。
EUROではフランスがグループリーグで敗退した為に戦う事は無かったんですが
大会前は一番当たりたくない相手でした。トラウマみたいなもんです。
で、今のフランス。というかこの親善試合でのフランスはどうだったのか。
…う~ん。。。
いまだに「誰かを中心にした代表」になろうとしてる、という印象です。
要するにジダンの代わりを探してるというか。
チーム全体で何とかしよう、という雰囲気が少ないんですよね。
特に攻撃の時に。
アンリはコンディションが悪すぎです。
最近めっきりバルサの試合を観ていないのでわからないのですが、
今のアンリって調子悪いんですか?
それとも、もうアレが精一杯?
トラップミス、パスミス、挙句の果てには空振り。ちょっと痛々しかった。
リベリはこの代表の中心になるべきである選手ですが、
とにかく一人でやりたがり過ぎでした。
一にも二にもドリブル突破。
もちろん彼の武器はこの「ドリブル」ですし、この試合でもドリブル突破で何度かチャンスを演出していましたが、
周りを使おうという意思が少ない気がします。
その2人に限らず、
フランスは攻撃時に動きによって崩そうという意識が少なかったように感じました。
あ、でもグルキュフはこのチームを引っ張っていこうという意思が見られて、プレーも良かったです。
グルキュフとリベリが有機的に噛み合えば、良い攻撃出来そうなもんですが。
あとシセ。ある意味今のフランス代表には必要な選手かもしれませんね。
あのゴールへの貪欲さは相手に恐怖を与えます。
守備に関しては、以前の「強固」なイメージが無くなりましたね。
ビエイラが待望されるのも解る気がします。
■この試合のスペインは
一方のスペイン。
この親善試合に関するコラムなんかを読むと
「圧倒的なスペインの技術の前に、フランスは為す術が無かった」
という論調だったのですが、
私の目にはそこまでの大きな差には写りませんでした。
(もちろん、私の目が曇っているのでしょう)
メンバーとしてはEUROの時、チームに必要不可欠であったマルコス・セナは控えに回り、
まだどちらか一方だけにアンカーを任せるのは不安なんでしょうか。
2人とも所属チームではアンカーこなしてるようですけど。
で、前目の3人はシャビが控えでイニエスタ・セスク・シルバ。トップにビジャ。
セスクはようやくスペイン代表でも居場所を確保しつつありますね。
ただ本番で監督がどういう布陣にするかはわかりません。
トーレス、ビジャ、イニエスタ、シルバ、シャビ、セスク、シャビアロンソ、ブスケツ、セナ。
この9人から6人を選ぶ感じでしょうか。贅沢です。
試合は前半、守備を固めてくるフランス相手に得意のパスが上手く繋がらず、やや単調な展開。
それでも21分にカウンターでイニエスタからのパスをシルバがスルー(?)してビジャへ。
これをしっかり決めて1-0。
果たしてシルバが全てを理解してスルーしたのか、上手くボールを収められなかったのかはわかりませんが、
あの手のチャンスをしっかり決めるビジャはやはり凄い。
こんな決定力の高いFWは世界を探してもなかなかいないと思います。
更に前半のロスタイム。
スペインの攻撃から一度ボールを奪われるも、ボールホルダーのグルキュフに対して3人掛かりで囲い込むと
最終的にボールを奪ったシャビアロンソが逆サイドでフリーのS・ラモスに展開。
対面するエスキュデがちょっとルーズにしている所でS・ラモスが切り返しから左足でシュート。
これがエスキュデの足に当たってゴールへ吸い込まれて2-0。
不運と言えば不運だし、エスキュデがもうちょっと寄せてれば…とも思います。
何よりこのシーンはスペインの攻守の切り替えの速さが光ってました。
途中からヘスス・ナバスやセナ、グイサといった所を出場させて
いつもの「テストモード」。
フランスがアンリに代えてゴブを投入した辺りはややフランスに勢いがあったんですが、
それも徐々に尻すぼみになって、結局2-0でスペインの勝利となりました。
スペインの攻撃といえば
「ショートパスを繋いで相手守備陣にギャップを作り、そこにラストパス」
みたいな印象じゃないかと思います。
実際、遅攻はそうやってますし。
ただ、得点シーンを拾うとやっぱりカウンターでの速攻だったり前線でのボール奪取からだったりするんですよね。
当たり前と言えば当たり前でしょう。
そういった場面が一番点を取り易いでしょうから。
そもそも相手守備陣が揃ってる状態で点を取るのはスペインといえどもなかなか難しいでしょう。
(EURO2008予選のアイスランド戦なんかが良い例かも)
何が言いたいかっていうと、スペインですら遅攻から点を取るのが簡単じゃないんだから
日本代表ももっと速攻やカウンターを狙って行こうよ、って事です。
余談ですが。
■スペインの弱点探し
やっと本題ですw
さて、無敵艦隊が本当に無敵になりつつある昨今ですが
このスペイン代表、穴は無いんでしょうか?
個人的には、小さいながらもあると思ってます。
やはりスペインはフィジカルの強い相手を余り得意としていません。
フランスとの親善試合、結果的には2-0の完勝でしたが
先制するまではフランスの中盤での素早いチェックを嫌がっていたように見えました。
また、2得点も言ってみれば「崩した」というよりかは「事故」に近いモノ。
なのでフランスの守備のやり方が大きく間違っていたとは思いません。
ただし、中盤での素早いチェックに必死になると、
交わされ続けてスタミナ切れになるのは間違いありません。
なのであるラインまでリトリートしてからチェック…という事になるでしょうか。
リトリートし過ぎて相手に持たせ過ぎちゃった、とならないようなバランスが難しそうですけど。
また、スペインは守備に関して言うとそこまで強固ではありません。
ピケは高く、プジョルは粘り強いですが
共にスピードに欠けるので、速い攻撃には後手を踏む可能性があります。
ただ、上に書いたように基本、守備から入る必要もありますので
攻撃は必然的に少人数(1~2人)になるでしょう。
つまり、強引に突破できるスピードのある選手、という事になります。
そんなFW、そうそういるもんじゃありません。
エトーとかC.ロナウドとかカカとかメッシになっちゃいますね。
要するにワールドクラスのFWって事です。
なんだこの普通な結論はw
ちなみに今までスペイン代表の試合を観てきて一番嫌な感じのFWは
あとドイツW杯の時のアンリ。
簡単に書くつもりがエライ長くなってしまいましたが、
つまりスペインやっぱり強いよって事です。
南アフリカW杯ではグループリーグはほぼ間違いなく突破すると思いますが、鬼門は決勝トーナメント1回戦。
ここを抜けた時、スペインは初のW杯優勝が見えてくるような気がします。