ザッケローニ監督は悪くない。悪いのは期待し過ぎた我々の方だ。
ちょっとだけ刺激的(?)なタイトルにしてみました。
という事で、ブラジルW杯に臨んだ監督・選手及びその4年間を自分なりに振り返ってみようかと思います。
■ザッケローニ監督の評価
毎回の事ですが、「良かったよ」「悪かったよ」という一方的な結論は出ません。
そもそも二元論のお話は好きじゃないので。
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まずはザッケローニ監督について「良い点」「良かった点」を出してみます。
日本に馴染む努力を惜しまず、日本人の特徴を学んでからチームを作った
決して選手だけの責任にしなかった
アジアカップでしっかり結果を残した
W杯出場権をしっかり獲得してくれた
細かい点はさておき、「攻撃的に行くサッカーで行く」という点はブレずに本大会に臨んだ
ここで既に賛否両論来そうですな。
まず前半の2つは精神的な、人間性の部分です。
ホントに「良い人」だったと思います。嫌味でもなんでもなく。
“日本の事を好きになってくれる外国人”ってのはどうしても贔屓目に見がちですが、
そこを差し引いても人間的には本当に優れていたんじゃないかと感じています。
(ま、その「良い人」な部分が良くない結果を生んだ可能性もありますが。。。後述)
で、3点目4点目は結果の部分です。
「そんなの当然だろう」という人が多いかもしれませんが、
この部分はきちんと評価してあげなきゃいけないと思うし、
周囲に(勝手に)当たり前だと思われてることを当たり前のようにこなす事がどれだけ難しいか、
賢明な皆様ならばお分かりかと。
特にアジアカップは就任直後という事もあり、色々と難しかったんじゃないかと思います。
当時は伊野波が輝いてました。だからW杯メンバーにも選んだのかな?とか穿った見方もできますw
ともあれ、きちんと結果を残したのですからね。
そして最後の点。
これは「良かった点」として挙げるべきか悩ましいのですが、
意思を貫いた、という点として評価したいと思っています。
私は前回の岡田監督を評価していますが、それでも「信念を曲げてしまったこと」については少し残念でした。
結果として勝利を収めたのでそこは流石だと思うし「柔軟性がある」って事になるのですが、
「曲げない何か」を持っている監督というのは、それはそれで評価したいです。
ザッケローニ監督は曲げませんでした。
コンフェデの結果を受けても、それでも守りに入らずに徹底して「攻め」の姿勢を崩しませんでした。
崩さなかった、という部分で「良かった」と評価したいです。
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では次に、ザッケローニ監督の「悪い点」「悪かった点」を出してみます。
優しすぎて(?)選手を操り切れなかった
本番になってやったことがない戦術、フォーメーション、選手起用をしちゃった
悪い流れを断ち切る手段を持ってなかった
ピーキング失敗?
1点目は前述の「良い人」だったからこその内容です。
所詮マスコミさんの記事だったりするんで本当の所はわかりませんが
ザッケローニ監督は「奪ってからの速い攻め」をやりたかったのに
選手(本田とか遠藤?)が「細かいパスを繋いでの攻め」をやりたかったがために、
最終的に選手達のやりたい方針にしたとか何とか。
正直胡散臭い内容なので8割引きぐらいで読みましたけど、
確かに就任当初ザッケローニ監督が目指していたのは
「奪って逆サイドに展開して速く攻める」だったような気がしないでもありません。
あと、3-4-3だけじゃないにせよもう一つぐらい戦術パターンは準備したかったんだと思います。
でも、その性格が災いしてか結局「細かいパスで攻める」だけのチームになってしまいました。
要するに、自我をもっと出したかったのに抑えちゃったんじゃないか疑惑です。
…ま、推測・憶測の域を出ないのでこの辺にしときます。
2点目と3点目はちょっと似てるんですが、
本番でいきなりパワープレーや右SH大久保、左SH岡崎とか、
何よりジョーカー的存在だと思っていた大久保がスタメンとか、
迷いというより博打的な部分を出しちゃったなぁ、と。
個人的には「岡崎・長友」のサイドは全然機能しないと思うんですよね。攻撃面では。
守備面では何か面倒臭そうな両名ですがw
パワープレーに関しては、やるなって事では無くて
今までやってなかったのにやっちゃうんだ、という所でしょうか。
吉田を前に上げてDFの目線を立体的にする、までは良いんですけど、
その上で地上戦を仕掛けるのが筋だったんじゃないかなー、と。今までの戦い方を考えると。
ま、そんな感じで要するに「悪い流れ」「点が欲しい時」に上手い事カード切ったり采配を振るったりが
出来なかった印象が残りました。
んで4点目に関しては監督だけじゃなく、JFAやスタッフも含めてのミスじゃないかなぁと。
どう考えても試合会場と合宿地点が遠すぎるし、気候が違い過ぎじゃない?
南アフリカで上手くやってたから今回も大丈夫だと勝手に思ってましたが…。
難しい部分だとは思いますが、本当に「万全を期す」というスタンスだったのかが疑問。
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■選手の評価
実をいうと、選手については何とも思いません。
選ばれた選手は全力でやっていたと思うし、上手く行かないときはこんなもんでしょうから。
(責任が無い、という意味ではありません)
ただ、極一部で言われているような「感動をほにゃらら」とか「お疲れ様」とか
そういう生ぬるい言葉を掛けるつもりもないです。
まず感動なんて一つもしてない。
で、目指すところに行けなかったんだから「お疲れ様」じゃなくて「次頑張れよ」って感じです。
あと、「あれだけ大口叩いてたんだからホゲホゲホゲ」みたいな論調もありますが、
選手達が自分を奮い立たせて自分自身にプレッシャーをかけるために言った内容に
「責任を持て」っていう方が間違っているかと。
むしろそんな言葉に本気で乗っかって本気で怒ってるんだとしたら
なんて純粋な心の持ち主なんだろうと思っちゃいます。
という事で、選手については
「次は普段の力が出せるように精一杯頑張ってください。」
ぐらいです。
良いも悪いもないです。はい。
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■4年間を振り返って
何だかんだで楽しい日本代表でした。
「強豪国にも勝てるかも」とほんの少し思わせてもらった事もあったし
強豪国相手でも昔みたいに守り一辺倒ではなく、日本から仕掛けるようなシーンもきちんと作ってました。
極端な事をしなくても普通に戦える、ザッケローニ監督率いる日本代表はそういうチームだったと思います。
だから少し期待しちゃった面もあります。
そしてその期待感に乗っかってきたメディアや一部サポーターによって、はるか高くまで持ち上げられた感じですね。
そんな高い所にいるチームじゃなかった。
もっと地に足を付けて戦うべきだったのは代表の面々だけではなく、私達もだったんでしょう。
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ザッケローニ監督が残したものってのはあんまり無いかもしれません。
それでも私はザッケローニ監督が無能だったとは微塵も思いません。
「日本は攻撃的なサッカーも表現できる(可能性がある)」って事を知らしめてくれただけでもOKだと思ってます。
今回の結果を活かすも活かさないもJFAやその他サッカー関係者、そして我々サポーター次第です。
ザッケローニ監督が見せてくれた小さな可能性を本当の力にした時に、彼に感謝することが出来そうです。
逆に、今回の結果を「監督がダメだった」で終われば、私達はザッケローニ監督を無駄にしただけになります。
力を問われているのは、私達です。