改めて、J2プレーオフを考える
J2プレーオフ。盛り上がりましたがすっかり過去のお話になりました。
当然ですね。過去ですから。
その後にサンフレッチェの優勝があり、今週末はいよいよJ1ラストゲームです。
皆様の関心はそちらに移る事でしょう。
…という事で、このタイミングで敢えて「J2プレーオフ」について
色々と考えてみたいと思います。
何でこのタイミングなのかってのは、
鉄を熱いうちに打つと色々とへんな方向に折れ曲がったりするからです。
意味不明と感じるかも知れませんが、まぁスルーして下さい。
勢いで書いただけです。
■目的と意義
このプレーオフのそもそもの目的は
『J2の終盤戦を盛り上げる』
だったかと思います。
J2はご存知の通りチーム数も22と多く、昇格枠は3、降格枠は1。
毎年の昇格争いも概ね5チーム程であり、
また最下位になりそうなチームも毎年大体2~3チームですので
半数以上のチームは、シーズン終盤に「消化試合」をする状態でした。
※J2は賞金も3位までにしか出ません。J1は7位まで出ます。
だから消化試合率も高いのです。
ここで3つ目の昇格枠を「3~6位の4チーム」まで拡げる事で、
終盤まで「6位までに入れれば」という目標が出来ます。
大体、残り5試合で12位前後にいるチームまで可能性は残りますから、
降格の争いと合わせると半分以上のチームが何らかの目標を持ち続ける事になります。
実際、今シーズンは松本山雅あたりまで希望があったかと思います。
サッカーを見る方々ならば、
「何らかのモチベーションがある試合」と
「単純な消化試合」の差はご存知でしょう。
やはり、何かが掛かった試合というのは面白いですし、注目を集めやすくなります。
ファンやサポーターならば現地で見ようという気にもなるでしょうね。
そういった意味では、当初の目的である『盛り上げる』というのは
十分に達成したと思われます。
つまり、プレーオフの存在意義もあった訳です。
■それでもプレーオフに反対する人はいる
プレーオフが終わった後、ジェフがもう少しで昇格を逃してしまった事もあって
プレーオフ関連のネットの書き込みなどを色々と読みました。
やはり、反対意見もありますよね。
概ね
たった2試合で年間順位の意味が失われる
本来なら昇格だった3位だった京都が可哀想
そもそも6位のチームがJ1に上がったってすぐ落ちてくる
という感じでした。
また、その勝敗を決めるルールに疑問を呈している方もいました。
「1点取ったら上位が圧倒的に有利なルールは不公平すぎる」
のだそうです。データ上。
まあサッカーなんてどっちにしても1点取ったら有利なスポーツですし、
上位に圧倒的に有利なルールならばそれはそれで悪くないんじゃ、という気はしますが。
話を戻します。
まずは反対意見の1.について。
正確には「3~6位」であるチームが「全て3位扱い」という事ですよね。
確かに意味は失われているのかもしれません。
でも、プロ野球のクライマックスシリーズのように
1位まで含めてのプレーオフじゃないので、
1位、2位という意味合いは全くもって失われていません。
要するに、乱暴に言えば
「J1に昇格したければ2位以内に入れ」
という事なのです。
2チームの自動昇格だった時代と同じですね。
なので、個人的にはそこまで「リーグ戦の順位を蔑ろにしている」とは思いません。
次に反対意見の2.について。
まぁ1.とほぼ同じなのですが、「本来ならば~」というのが実は前提としておかしい感じですよね。
今シーズンが始まる前に、Jリーグから「プレーオフやるよ」と通達があって、
「プレーオフの対象は3~6位だよ」って言われてるのですから
「本来だったら」もなにも無いのです。
「去年までだったら」ならわかりますが。
で、2位の芽があったにも関わらず3位になってしまった京都は、
申し訳ないけれど「実力がそこまでだった」という事だと思うのです。
3位になった京都が可哀想なのであれば、
7位になったヴェルディも同様に可哀想なんでしょうか?
違いますよね。6位になれなかったヴェルディの力不足でしょう。
何より、このプレーオフに対して当の京都サポーターなどからは
特別に反対の声が聞こえてきません。
というか、今回参加した4チームのサポーターは概ね「良かった」と言っているようです。
なので、外野が「可哀想」とか言うのも何か変な感じです。
そして反対意見の3.
確かに、自動で3チーム入れ替えになった2009年以降、
J2の3位だったチームは翌年に降格しています。
入れ替え戦が行われていた時代でも、
J2からの昇格組が翌年どこも降格しなかったのは1度だけです。
なので、「6位のチームが昇格してもすぐ落ちる」というのは
歴史的に見ても確率が高いし、ごもっともかもしれません。
ですが、それって前述したように「3位が昇格しても大苦戦」なのだから、
逆に言えば3位が昇格しようが6位が昇格しようが、同じって事ですよね?
であるならばこの意見は「そもそも自動昇格に3枠も要らない」
と主張するのが筋であって、
決してプレーオフと絡めるようなものでは無いんじゃないでしょうか。
ま、個人的には来期トリニータに頑張ってもらって
「J2の6位だってここまで出来るんだ」
というのを見せて欲しいと思っているのですけどね。
■とはいえ、改善の余地はありあり
今回のプレーオフ、制度としては割と良く出来たものだったと思います。
ですが、まだ1回目なので
「これ、もーちょっとどうにかなるんじゃね?」
という部分もあるかと。
例えば今回、たまたま3~6位の勝点差がキレイに1ずつでした。
これは3~6位のチームj力が拮抗していたからだと思いますが、
毎シーズンこうなる訳じゃありません。
《2007年》
3位:京 都 勝点86
4位:仙 台 勝点83
5位:C大阪 勝点80
6位:湘 南 勝点77 ⇒3位との勝点差9
《2008年》
3位:仙 台 勝点70
4位:C大阪 勝点69
5位:湘 南 勝点65
6位:鳥 栖 勝点64 ⇒3位との勝点差6
《2009年》
3位:湘 南 勝点98
4位:甲 府 勝点97
5位:鳥 栖 勝点88
6位:札 幌 勝点79 ⇒3位との勝点差19
《2010年》
3位:福 岡 勝点69
4位:千 葉 勝点61
5位:東京V 勝点58
6位:横浜C 勝点54 ⇒3位との勝点差15
《2011年》
3位:札 幌 勝点68
4位:徳 島 勝点65
5位:東京V 勝点59
6位:千 葉 勝点58 ⇒3位との勝点差10
《2012年》
3位:京 都 勝点74
4位:横浜C 勝点73
5位:千 葉 勝点72
6位:大 分 勝点71 ⇒3位との勝点差3
という事で、今シーズンが特殊だったんですね。
ここに挙げた6シーズンの「3位と6位の勝点差」平均は10.3。
これが2試合でひっくり返ってしまうのは、やっぱりなぁと思うのです。
そこで、以下のようにしてみるのはどうかな、と。
参加チームは3~5位
まず4位と5位で試合をして、勝った方が3位と昇格を賭けて戦う
ただし、4位と5位の勝点差が10以上あったら3位と4位の一発勝負
3位と4位の勝点差が10以上あったら…自動かな?
後半になるにつれてあやふやになってきましたが、
過去の成績を考えるとこれくらいのレギュレーションが落とし所かと思います。
本当はホーム&アウェイでやったりしたいんですけど、
ただでさえ多い試合数が増えてしまうし、
そんな簡単にスタジアムを押さえる事が出来るのかわからないので
とりあえず全部国立でも良いでしょう。
引き分けの場合、上位チームが進出ってのは個人的に悪くないと思っているので
これもとりあえずこのままで。
まぁ、恐らく来期も同じレギュレーションでやると思いますが、
今シーズンのように3~6位が接戦にはならないでしょう。
(なったら凄い)
その時に、どうするのか。Jリーグ側の出方に注目です。
エライ長くなりましたが、少なくとも今回のプレーオフはそれなりに成功だったと思います。
いやらしい話ですが、『リーグ戦の結果3位で昇格』というよりも
『トーナメント1発勝負で勝ったから昇格』の方が
メディアも取り上げ易いですし、注目度は高まると思います。
注目されるようになれば、参加クラブの知名度も上がってくるし
そのクラブのスポンサー獲得にも影響してくるでしょう。
経営が苦しいクラブが多いJ2にとってはありがたい制度なんじゃないでしょうか。
今後、色々と意見が出てくるかと思いますが
個人的にはこのプレーオフ、続けて行って欲しいと思います。
…ま、入れ替え戦の方が好きなんですけどねw