強みを消されても勝てる強さ《vsイラク》
アジア最終予選の第4戦。
日本はイラクと戦って1-0で勝利しました。
いやー、なかなか厳しい試合でした。
それでもホームでの勝点3という、最良の結果が得られたのは素晴らしい事です。
最終予選は抜ける事が第一義ですから。
とりあえず、感じた事などを。
■知将(?)ジーコ
それにしても、イラク、いやジーコはいつの間に策士になったのでしょう。
あれだけ試合前に「奇策などは必要ない。」なんて言っておきながら、
スタメン10人替えですよ。
色々と理由はあったにせよ。
んで試合中は遠藤と長谷部へのマンマーク。
相手ボランチをケアする、ってレベルじゃなくて、マンマークです。
あと本田にも密着マーク。
要するに日本の強みである中盤を潰しに来た訳ですね。
そして最後に、こちらが疲れてきたのを見計らって
点の取れる選手を次々と投入。
いや、正直感服しました。
自分達の力が相手より劣る事をしっかりと受け止め、
その上で勝つ可能性を少しでも上げる為の策を出してきたのです。
こんなの、日本代表監督時代にはなかったような気が。
他の方も書いてますが、
あのCKからのヘディングで先制されてたらかなり危なかったかも知れません。
もしくは日本が先制した後のカウンターからのシュート(川島の横っ飛びで事なきを得たヤツ)。
あれで同点になってたら、とか。
恐らく、ジーコ的には8割方プラン通りの試合だったんじゃないでしょうか。
試合には負けたものの、相手ホームで若手を使って最小失点で抑えたのですから、
収穫は非常に多かったかと。
これはイラクホームでの試合が怖いです。
幸い、日本にとっては最終戦なので
この時点で予選突破を決めていれば良いのですが。
もし「勝たないとヤバイ」てな状況になったとしたら、相当恐ろしい相手になりそうな予感。
■それでも勝った日本
上述の通り、ジーコによる日本対策によって
どうにも攻撃が上手くいかなかった日本代表。
遠藤、長谷部、本田のポジションが近いと
相手選手によって中盤でのスペースを潰されてしまう為、
遠藤は下がり、本田は前目に位置する事で交わそうとしていました。
すると遠藤から効果的なパスは減り、本田は組み立てへの参加が少なくなってしまって
いつものようなパスワークが出来なくなってしまいます。
やるな、ジーコ。
それを打開したのが、もう一つの日本の強みである「サイドからの攻撃」でした。
岡崎、清武が両SBとの連携で崩しにかかり、
日本の得点は駒野のスローイン⇒岡崎の裏抜け&技ありクロス⇒前田のヘディングという
キレイなサイドの崩しでした。
(しかも本田、遠藤、長谷部が絡んでないという)
残念ながら得点はこれだけだったのですが、
他にも岡崎からのクロス⇒逆サイド清武のヘディングや
長友のクロス⇒本田のヘディング
清武のクロス⇒本田のヘディング
など、サイドからのクロスでチャンスを演出していました。
今までにあったような、中盤でのパスワークからの崩しこそ見れませんでしたが
それでもきっちりと得点する(もしくは相応のチャンスになる)パターンを持っているのは強いですね。
一方、一番心配していた守備ですが、
伊野波がきちんとやってくれました。
伊野波さん、いつもバタバタしてるとか言ってゴメンナサイ。
この試合では相手をきっちり抑えていたかと思います。
後半から出てきたマフムードにも仕事をさせませんでした。
川島もさすがです。特にカウンターからのシュートを防いだのは凄い。
あれはかなり突拍子も無いタイミングでのシュートだったので、
本当によく反応したな、と。
また、吉田のビルドアップやくさびのパスは安心して見られました。
長谷部、遠藤が抑えられてもくさびのパスを入れられるっていうのは
大きな武器ですね。
■ちょっとだけ個人評
駒野
⇒ 親善試合で見せた輝きがちょっとなくなっちゃったかな?
岡崎と組むと、どっちも「使われる側」なので難しいのかも。
あと後半最後のミスキックはちょっとアレです。
長友
⇒ コンディションの良い長友が、アジアを相手にするとこうなるという
恐ろしい見本でした。
日本代表の中で敵にしたくない選手の一人。
清武
⇒ 馴染んでるなぁ。
岡崎のような動き出しをする選手がいると本当にやりやすそう。
得点出来ないのは、何かもう取り憑かれてるとしか思えないので
軽くお祓いする事をお勧めします。
岡崎
⇒ 清武への左足でのクロス。前田への左足でのアシスト。
相手を背にした時のボール捌き。清武のパスを引き出す動き。
素晴らしいです。
素晴らしいのですが、何故か普通のパスをミスる。
そしてドリブルで奪われる。
動きながらだと決定的な動きをして非常に上手いのに、
他の選手がミスしなさそうな所で簡単にミスをしてしまうので
手放しで評価出来ない自分がいます。
いや、必要な選手ですけどね。あれだけ精力的に動いてくれるし、
決定的な仕事もしてくれますから。
日本vsイラクの後に行われたオーストラリアvsヨルダンで、
ヨルダンが勝ったようですね。
これで2位以下がかなり混沌としてきました。
こうなると、2位以上確定がかなり早まるかもしれません。
そうなればW杯本戦に向けて色々と試行錯誤する時間が増えるので
早めに決まるに越した事は無いでしょう。
それにしても、今のままだと日本代表が結構な強さなんじゃないかと勘違いしそうです。
(それなりの強さは持ってると思いますが)
10月のフランス戦、ブラジル戦で、強豪相手にどこまで通用するのかが多少見られると思いますので、
そこもまた楽しみです。